「自由社版教科書は訂正せよ」神奈川県教委の要望書全文

神奈川県教委が文科省に対して自由社版教科書の訂正勧告を求めた要望書の全文は次の通りです。

子教第50号
                             平成24年6月25日
文部科学大臣殿
                             神奈川県教育委員会 委員長 平出 彦仁
 
             教科書発行者に対する給与済み図書の記載内容に
             関する訂正申請の勧告実施を求める要望書
 
このことについて適切かつ迅速な対応をしていただきたく、次のとおり、要望いたします。
教科書記述の正確性を確保し、生徒の学習を質的に保障するため、教科書発行者に対する訂正申請の勧告を行い、現に使用している学校への訂正の通知を促すこと。

<提案理由等>
このたびの要望書を提出する契機となった中学校社会科(歴史的分野)の教科書に限定して、提案の理由等を述べる。

平成23年度に中学校において、教科用図書の採択替えが行われた。それに先立つ平成22年度教科用図書検定において、いくつかの歴史的事象の記述について、平成20年度あるいは平成16年度の検定では合格となっていたものに検定意見が付され、修正表を提出し、再審査を経て検定済みとなるケースが、複数の発行者で見られた。これにより、中学校では次のような事態が起きている。
一つの学校において、前回(平成21年)と今回(平成23年)の採択替え で同じ発行者の教科書を採択している場合、同じ学校の同じ教育課程で学ぶ生徒の「教科の主たる教材」である教科書で、同一の歴史的事象について、学年によって異なる記載内容で学習している。
また、発行者の異なる教科書を採択していても、前回の採択図書で学ぶ生徒は、その記載内容について、訂正されないまま学習している。その結果、生徒の学習活動に大きな支障をきたし、あわせて高等学校の入学者選抜における、学力検査の問題作成にも影響を及ぼすこととなる。
本来、教科書は小・中学校等において、「教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書」(教科書の発行に関する臨時措置法)であり、諸学校における児童生徒の学習を保障する重要な要素のひとつである。
今回の教科書の改訂では、そうした役割を有する教科書について、教育基本法及び学校教育法の示す教育理念や目標等を適切に踏まえ、新学習指導要領の趣旨・内容を的確に反映した質・量ともに充実したものとしていくことが強く求められていた。
この点に関しては、教科用図書検定調査審議会から出された報告書「教科書の改善についてー教科書の質・量両面での充実と教科書検定手続きの透明化ー(報告)」(平成20年12月25日)の中でも、教科用図書検定基準に関し、教科書記述の正確性について言及されているところである。
こうしたことに基づくならば、どの教科も教科書の発行者は、その記述内容に関して、検定後または既に給与済みとなっても、必要に応じて訂正申請を行い、文部科学大臣の承認を得た上で、現に使用している学校に訂正通知を出して、最新の情報に更新し、正確性の確保に努めるべきであり、それが児童生徒の学習を支える発行者としての責任と自覚である。
しかしながら、現在においてもなお、特段訂正申請及び通知をしていない発行者もある。
そこで、訂正申請及び通知は発行者が行う(教科用図書検定規則第14条、15条)ことになっていることから、発行者の社会的責任と自覚をあらためて促すよう、教科用図書検定制度の統括者であり、「その訂正の申請を勧告することができる」(教科用図書検定規則第14条第4項)権限を持つ文部科学大臣に、上記の点について強く要請する。

                   <問い合わせ先> 教育局支援教育部子ども教育支援課
                               教育指導グループ  松田
                               電話 045−210−8217(直通)

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