神奈川県教委が自由社版教科書の訂正を文科省に要請

朝日新聞7月28日付

教科書「訂正勧告を」 神奈川県教委 文科省へ 不正確記載で
 
神奈川県教委は27日、文部科学省に対し、2009年版の教科書の不正確な記載内容などについて、出版社に訂正の勧告をするよう要請したと発表した。同省によると、地方自治体からのこうした要請は異例という。
県教委は、横浜市の市民団体から「自由社版の歴史教科書は、11年の新版で修正された部分が複数あるのに、09年版を使用している学校に周知されていない」などと要望を受けて議論。県教育委員から「古い記述で学習し、生徒に不利益が出ている」といった意見が出たため、要請に踏み切った。09年版の自由社の歴史教科書は、横浜市の一部で、今の中学2、3年が使っている。
文科省教科書課の金沢哲哉専門官は「訂正の勧告は前例がなく、重大な誤りを想定したものだ。あくまで出版社の自主的な判断に任せている」と話している。

【解説】横浜市教委は2009年、18区中8区(青葉、旭、金沢、港南、港北、瀬谷、都筑、緑)の市立中学校の歴史教科書として「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版教科書を採択し、10年度から使用されました。
昨年には市内全域で「教科書改善の会」の育鵬社の教科書が採択され、この春から使用されています。
中学校の社会科は一般的に、1、2年生で地理、歴史を並行して教え、3年生で公民を教えています(1年で地理、2年で歴史、3年で公民を教える「ザブトン型」に対して「パイ(π)型」と呼ばれています)。
従って、横浜市の8区の市立中の2年生は、昨年春に配られた自由社版教科書(旧版=10年度版)を今年度も使っています。
自由社版の旧版は写真の裏焼きなど欠陥が多いほか、東京書籍の教科書から年表を盗用していることが明らかになっています。新版(12年度版)で修正していますが、旧版を使用している学校に修正を周知していません。
このため横浜市教委に善処を求める声が相次いでいましたが市教委は動かず、今回県教委が文科省に要請することになりました。
なお、朝日新聞の記事中、09年版は10年度版、11年版は12年度版の誤りです。
 
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