検定に合格した自由社と発行者の自由社は別法人(再掲・加筆)

何度もお伝えしてきましたが、「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史教科書を検定申請し、合格させた「自由社」と、文部科学省から教科書発行者に指定され教科書を供給している「自由社」は、名称は同じですが全くの別法人です。
これが登記簿です。左が石原萠記氏を社長とする自由社(1973年10月設立)、右が加瀬英明氏を社長とする自由社(2008年9月設立)のものです。

2008年4月17日、石原萠記氏を社長とする自由社は「つくる会」の中学校歴史教科書を文部科学省に検定申請しました(受理番号20−1)。
同年9月12日、加瀬英明氏を社長とする自由社が設立されます(“石原自由社”も存続したまま)。
同年12月4日、“石原自由社”が検定申請していた教科書は516カ所にも上る欠陥が指摘されて不合格となり、“石原自由社”は12月24日に再申請しました(受理番号20−3)。そのときの申請書がこれです。

その教科書はなおも136カ所の検定意見が付き、“石原自由社”は修正に応じて、昨年4月にようやく合格となりました。
しかし奥付にある発行元は、検定申請者ではない“加瀬自由社”になっています。

石原萠記氏が加瀬英明氏に社長を譲ったのではありません。「自由社」が今も2社存在しているのです。「日産出版社」が検定申請して合格した教科書を「トヨタ出版社」が発行しているのと同じですが、同じ名称にすることによって隠しています。
検定合格直後に“石原自由社”から“加瀬自由社”に版権を譲渡したそうですが、こんな不可解な操作をすることがまず問題視されるべきでしょう。
このことについてメディアは一切報道せず、検定に合格した“石原自由社”と発行者の“加瀬自由社”を同一視しています。