横浜市全域で「改善の会」育鵬社の教科書採択

横浜市、歴史と公民の教科書に育鵬社版を採択
 
横浜市教育委員会は4日、2012〜15年度に市立中学149校で使用する歴史と公民の教科書に、育鵬社版を採択した。
同社によると、採択は全国で6例目だが、横浜市では4年間で生徒約10万人が使うことになり、これまでで最多の使用規模となる。
歴史、公民ともに、7社の教科書から教育委員6人が記名投票し、4人が育鵬社版を選んだ。同社版は、「新しい歴史教科書をつくる会」元会長らが参加する「教科書改善の会」が執筆。「歴史を多面的にとらえられるように」と、太平洋戦争について「(大東亜戦争)」と併記している。一方、市民団体が不採択を求める署名を市教委に提出していた。
(2011年8月5日11時03分 読売新聞)
 
「育鵬社」採択 市民団体が批判 中学教科書 市教委「勇気もって答え」
 
横浜市立中学校149校で、来年度から4年間、育鵬社版の歴史と公民の教科書が使われることになった。
育鵬社版は、「新しい歴史教科書をつくる会」元会長らが参加する「教科書改善の会」のメンバーが執筆。歴史認識などを巡り賛否が分かれている。
4日の横浜市教育委員会定例会の会場では、20人の市民が傍聴。抽選に漏れた500人以上は近くのホールで会議の音声中継に耳を傾け、海外メディアも取材に訪れた。審議では、委員から「伝統と文化を尊重し、日本に誇りを持てる内容になっているかが重要」「歴史認識に関しては極端でないことが大切」などの意見が出た。
同市教委が2009年、市内18区のうち8区で「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した自由社の歴史教科書を採択した際は、無記名投票で決定し、批判を浴びた。今回は「教育委員の権限と責任は重い」として記名投票を選択し、6人の委員のうち4人が育鵬社版を選んだ。
定例会後、不採択を求めて約11万1000人分の署名を市教委に提出した市民団体「横浜教科書採択連絡会」のメンバーは「教育委員の思想信条で子どもたちの教科書が決められた」と批判。
一方、記者会見した市教委の今田忠彦委員長は育鵬社版について、「多角的な見方をしていてバランスが取れている。様々な見方があると思うが、勇気をもって答えを出した」と述べた。また、育鵬社版に反対する人たちから辞任要求があったことを明かし、「教科書採択が教育の世界におけるイデオロギー闘争の象徴になっている」と不快感を示した。
(2011年8月5日 読売新聞)