自由社による年表盗用、文科相が不適切と認める

28日付「しんぶん赤旗」より

盗用教科書 厳正対処を 侵略美化本 宮本氏がただす 衆院委
 
日本共産党宮本岳志議員は27日の衆院文部科学委員会で、年表盗用が発覚した侵略美化の自由社中学校教科書『新編・新しい歴史教科書』について厳正に対処すべきだと迫りました。
同教科書は検定に合格しましたが、東京書籍『新しい社会・歴史』2002年度版から年表を盗用していました。180項目すべてで出来事の選択が一致し、うち9項目を除いて表現も同じでした。
宮本氏が「明白な盗用だ」と指摘したのに対し、文科省の山中伸一初等中等教育局長は「自由社も問題の年表がほぼ引き写しであることを認め、著作権侵害行為にあたると謝罪している」と述べました。
宮本氏は、入学試験や研究論文でも引き写しや盗用があれば、合格取り消しや資金の打ち切りが行われると指摘。「盗用を認めているのに『お構いなし』『合格』でいいのか」とただしました。
高木義明文科相は「(自由社からわび状の)文書が出ている通り」と述べ、不適切であることを認めました。
 本氏は「不正をしても訂正すればいいなどということが、子どもの教科書で許されてよいわけがない」と強調。これらの教科書が太平洋戦争を「自存自衛」の戦争と描くなど侵略戦争を美化していることをあげ、戦後日本社会の出発点を否定する教科書を検定合格で認めた政府の責任は重大だと強調しました。

自由社が著作権侵害認める  年表盗用でお詫び文書

16日付「しんぶん赤旗」より

年表盗用を「おわび」 つくる会系教科書出版社
 
侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」系の自由社の中学校歴史教科書の年表が他社教科書からの盗用と指摘された問題で、自由社が同教科書を使用している横浜市教育委員会と中学校校長などに引き写しの事実を認めた「お詫(わ)び」文書を送付していたことが15日、分かりました。
教科書は『新編 新しい歴史教科書』(2010、11年度用)で、年表部分が東京書籍版の02年度の年表と酷似し、「子どもと教科書全国ネット21」と「横浜教科書採択連絡会」が6月13日に盗用疑惑を指摘していました。
「お詫び」文書は自由社教科書編集室長の榎本司郎氏名で今月、中学校校長に出されました。文書は「ほぼ引き写しであることが判明」したと認め、東京書籍に訪問陳謝したと説明。教科書を使用している教育委員会や学校にお詫びと経過説明をするとしました。一方、盗用の経過は「当時の作成担当者が2年前に退社しているため」確認できないとし、年表自体には誤りはないので「学習上の支障はない」などと記載しました。
自由社版歴史教科書は現在、横浜市内の8行政区と一部の私立学校で使われています。8月の教科書採択(12年度から4年間使用)でも同社の教科書は対象になっており、ほとんど同じ年表が使われています。同社は、見本本について「可及的速やかに作り直した年表を文科省に訂正申請いたします」としています。

横浜市の教科書採択担当部長は藤岡信勝の教え子

ことし初めにこの問題を提起しましたが、横浜市教委は当事者を更迭せず、4月の異動でも留任させました。再度述べます。

一昨年、「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書を採択した当時の横浜市教委の学校教育部長・漆間浩一(うるしま・こういち)氏は、かつて東大教育学部に国内留学した際に藤岡信勝氏(「新しい歴史教科書をつくる会」会長、自由社版歴史教科書代表執筆者)の指導を受けた教え子です。

藤岡信勝著『ストップモーション方式による授業研究の方法』(1991年、学事出版)

藤岡信勝氏はこの本で、当時、横浜市立老松中学校教諭だった漆間浩一氏の授業実践をなんと50ページ以上にわたって取り上げ、「見事な授業である」と高く評価しています。漆間氏は藤岡氏が編集代表を務めていた「授業づくりネットワーク」のメンバーだったのです。
はしがきに藤岡信勝氏と漆間浩一氏の出会いが書かれています。

1987年度の横浜市の派遣研究生として1年間私の研究室にお見えになったのが漆間氏とのおつきあいの始まりである。体ごとぶつけるようにして実践ととり組んでいる漆間氏の中学生に対する愛情・サービス精神に私は深い敬意を抱いている。

漆間浩一氏は昨年4月から指導部長を務めています。指導部長とは、教科書採択の担当部長であり、現在行われている中学校教科書採択事務を教育長の下で指揮している責任者です。
 
教科書採択担当部長が特定の教科書会社の代表執筆者の教え子である。こんなことで公正な採択が行えるはずがありません。
 
横浜市教委指導部長は藤岡信勝の教え子
横浜市教委は漆間浩一指導部長(藤岡信勝の教え子)を更迭せよ

自由社版教科書による年表盗用を朝日新聞が報道

新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書の巻末にある「歴史年表」は東京書籍からの盗用であるという問題が、きのうの朝日新聞朝刊で報道されました。


 
「つくる会」歴史教科書が年表丸写し 市民団体が指摘
 
市民団体「子どもと教科書全国ネット21」(事務局・東京)は13日、横浜市で記者会見を開き、「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された自由社の中学歴史教科書2012年版の年表が、東京書籍の02年版教科書とほぼ一致していると発表した。
同ネットによると、両教科書の年表の「日本のおもなできごと」で、「縄文時代 採集や狩りによって生活する」から「1997 アイヌ文化振興法制定」までの約180項目すべてで出来事の選択が一致した。
9項目で「大和国家」「太平洋戦争」(東京書籍)と「大和朝廷」「大東亜戦争(太平洋戦争)」(自由社)などの違いがあった以外は表現も一致していた。
横浜市内8区の市立中学校で自由社の10年版教科書が使われており、10年版もほぼ同様の状態だったことから、同ネットは今回、横浜市で発表したという。
同ネットの俵義文事務局長は「丸写しで盗用した可能性が高い。他社が改良を重ねて築いた成果を勝手に使うことは大問題だ」と指摘。他にも同様のケースがないか調べているという。
東京書籍は「初めて聞いた話で驚いている。事実関係を確認のうえ今後の対応を考えたい」としている。
自由社版教科書の代表執筆者で「つくる会」会長の藤岡信勝さんは「指摘を受けるまで気づかなかった。年表作成の担当者は自由社を退社しており、経過を確かめようもないが、関係者に迷惑をかけ、深くおわびする。夏にこの教科書が採択された後、来春の使用開始までに充実した年表につくり直す」と話した。


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自由社版教科書が東京書籍の年表を盗用

自由社=ずさん、未熟  育鵬社=巧妙、右派教科書として脅威

11日に東大農学部で行われたシンポジウム「歴史教科書いままでとこれから PART7」(主催:「教科書に真実と自由を」連絡会、社会科教科書懇談会、歴史学研究会歴史科学協議会、日本史研究会、地方史研究協議会、歴史教育者協議会、東京歴史科学研究会、出版労連子どもと教科書全国ネット21)に行ってきました。
 
自由社=ずさん、未熟
育鵬社=巧妙、右派教科書として脅威
 
とのことでした。

自由社版教科書、今回も誤植だらけ 「自由」が「白由」に

薔薇、または陽だまりの猫 から

今春検定に合格した「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書が東京書籍の年表を盗用したことが明らかになっていますが、多数の誤植、間違いも判明しました。
 
右派のブログ正統保守の敵「つくる会」一部首脳を追撃しますにまとまっています。
http://blog.goo.ne.jp/project-justice/e/9c5f22a28145cd06ea55610436909158 
「職業選択の白由」「白由に経済活動」となっています。
これは検定を通った教科書なのです。
 
自由社版教科書は前回の検定合格後も誤植、間違いに加え写真の裏焼きまで見つかっています。文部科学省はいったいどこを検定しているのでしょうか。検定のやり直しを文部科学省に求めましょう。

 
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自由社編集者は「維新政党新風」婦人部長

文部科学省が公表した「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史・公民教科書の著作編修関係者名簿によると、自由社の編集者は下記の5人となっています。

榎本司郎
高鷲近
石井龍雄
石井弘子
荒木紫帆

高鷲近氏は日本教材文化研究財団の専務理事を務めていました。
石井龍雄氏は藤岡信勝氏の友人で、石井竜生のペンネームで作家活動を行っていたことがあります。
石井弘子氏は石井龍雄氏の妻で、井原まなみのペンネームで夫婦合作の作品を発表したことがあります。
 
荒木紫帆氏は「新しい歴史教科書をつくる会」東京三多摩支部幹事で、「維新政党新風」婦人部長です。
写真は荒木紫帆氏(YouTubeより)→