自由社版教科書のキトラ古墳の写真は裏焼き

「季刊戦争責任研究」(日本の戦争責任資料センター発行)の2010年夏季号が届きました。高嶋伸欣先生が「『つくる会自由社版歴史教科書供給本(生徒用)に残る多数の誤記から、関係者の責任を衝く」という文章を書かれています。「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書が、2008年度の教科書検定で516か所の誤記を指摘されて不合格となり、再申請してなお136か所の検定意見を修正して合格し、さらに合格後に40か所の訂正申請を行ったけれど、生徒に供給された後もまだ重大な誤記があるというレポートです。
「現在は、まだ点検、分析の作業中だが、これまでに判明している事例は、以下の通り」として10項目を挙げておられますが、歴史に詳しい友人の助けを借り、僭越ながら補足させていただきます。
高嶋先生は、口絵3ページに掲載されているキトラ古墳の内部写真5枚のうち3枚が裏焼きと指摘されています。左の写真が該当ページです。
 
本物と比べてみました(比較した本物の写真は「奈良文化財研究所 飛鳥資料館倶楽部」に掲載されているものを使わせていただきました)。自由社版のページの下にキトラ古墳の四神の写真が掲載されています。一番右の「朱雀」だけは正しい向きです。残りの3枚はこれ。

正しい写真はこれです。

自由社版は裏焼きです(デジタル画像の時代に裏焼きとは。意図的に画像処理ソフトで左右反転しない限りできません)。特に右の「青龍」は裏焼きである上、左に90度ひっくり返っています(メチャクチャです)。
 
高嶋先生は気付いておられませんが、上にある「北斗」も裏焼きです。
左が自由社版の写真、右が本物。

 
分かりにくいですが、本物をまず左右反転させて…

 
ぐるっと回転させてトリミングすると…

自由社版と同じ向きの写真の出来上がり。裏焼きです。
 
このページにある5枚の写真のうち、なんと4枚が裏焼きです。
 
こんな教科書が横浜市の8区の市立中学校や一部の私立中で使われているのです。
その他の欠陥は「季刊戦争責任研究」をご覧ください。
 
追記 AERAが報道しました。