年表盗作の自由社版歴史教科書が高値で流通

昨年発覚した自由社=「新しい歴史教科書をつくる会」による東京書籍からの年表盗用事件は、自由社が2012年度版市販本『市販本 新しい歴史教科書』(ISBN:4915237613、写真→)を書店から回収して改訂版(ISBN:4915237656)を発行しただけで、うやむやになっています。
そんな中、回収された市販本が高値で流通するという現象が起きています。
ネット通販サイトのアマゾンではきょう現在、回収された市販本が1万1999円〜1万5000円で販売されています↓

自由社や「新しい歴史教科書をつくる会」(同じフロアに同居)のスタッフは、事務所から持ち出せばひと儲けできるのではないでしょうか。

それはともかく、自由社が年表を盗用したのはその前の2010年度版(08年度検定合格、09年度採択)からです。なのに、自由社は2010年度版市販本『日本人の歴史教科書』(ISBN:4915237508、写真→)は回収対象にしていません。
 
 
年表盗用の元祖が店頭に堂々と残っているのです↓

アマゾンでも新品を購入することができます。自由社のホームページにも商品として載っています。絶版にせず売り続けているのです↓

 
自由社=「新しい歴史教科書をつくる会」は東京書籍からの年表盗用事件について全く責任を取っていないのです。

橋下徹と安倍晋三を結びつけたブレーン八木秀次

しんぶん赤旗8月17日付

橋下「維新」逆流の正体 第5部 国政への野望3 「靖国史観」を大阪から
 
「日本全体で一番必要なことは、子どもたちに近現代史の教育を与えることだ」。5月下旬の府市統合本部会議。強権政治をすすめる司令塔で、橋下徹大阪市長近現代史教育施設づくりの構想をぶちあげました。
いまなぜ近現代史教育施設か。「中国や韓国がいろんなことを日本に言ってくるのかの根本を知らないと…僕は日本のいまの近現代史に大いに不満を持っている」「こんなことをやっていたら、日本の国をしょって立つような人材は育たない」
別の場ではもっと露骨です。「学校の現場は育鵬社の教科書は全然採択しない。育鵬社の教科書とかの考え方もしっかり子どもたちにださないといけない」(中略)
「橋下市長は、靖国神社の展示館『遊就館』の大阪版をつくろうとしている」。中学校で社会科を教える教師は声を強めました。
「橋下さんのいう『日本をしょって立つ人材』というのは、黙って働く、戦場へも赴く“忠実”な若者です。施設見学を学校教育の一環として義務づけることもやりかねません」と指摘します。安倍氏に酷似 これらの動きは、かつて安倍晋三内閣が“美しい国”の名でアメリカと一緒に戦争する国をめざしたときとよく似ています。
橋下氏が代表を務める「維新の会」の「教育基本条例」案を発表した記者会見で、坂井良和市議団長は「戦後レジーム(体制)からの脱却を大阪から」進めると表明しました。
戦後レジームからの脱却」は、安倍氏が多用していた言葉。戦後日本が守り続けてきた憲法の平和原則や民主主義を戦前の「国体」に反すると総括するものです。
安倍氏も2月、大阪で開かれた日本教育再生機構の集会で、「維新」の教育基本条例を「私たちの方向とまったく合致している」と持ち上げました。
15日、野田民主党政権の閣僚が靖国神社を参拝して世界を驚かせましたが、橋下氏は知事辞職直前の昨年10月、靖国神社と関わりが深い大阪護国神社の秋季例大祭に知事として40年ぶりに正式参拝しています〈日本会議大阪事務局発行『日本の息吹(大阪版)』11年12月号〉。
日本教育再生機構八木秀次理事長は、「維新八策」の教育「改革」が「事実上、自虐史観からの脱却を目指したもの」「保守本流たる安倍氏と維新の会は思想的に気脈を通じている」と評価しています(『SAPIO』5月16日号)。
次期総選挙に向け、橋下・「維新」が新党を準備し、安倍氏に参加要請していると一般紙(「朝日」15日付)が報じました。安倍内閣がなしえなかった「戦争できる国」を橋下氏がタッグを組んで推進しようとしています。

 
朝日新聞8月31日付

歴史認識に一転「持論」 橋下市長、慰安婦問題で政府批判
 
大阪市橋下徹市長が、歴史認識をめぐり踏み込んだ発言を始めた。南京事件尖閣諸島の領有問題で慎重な態度を示してきたが、一転して従軍慰安婦問題で政府見解に疑問を投げかける。背景に何があるのか。
今月10日、韓国の李明博大統領が日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)に上陸。旧日本軍の慰安婦問題に進展がないことを理由に挙げた。
すると、橋下氏は21日、報道陣にこう答えた。「強制連行があったかどうかの確たる証拠はなかったというのが日本の考え方だ」
日本政府は1993年、軍の関与を認め、慰安婦の募集や移送について強制性を認める官房長官談話(河野談話)を出している。それに疑問を挟んだ格好だ。
3日後の24日、橋下氏はさらに踏み込んだ。安倍内閣が2007年に閣議決定した「資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述が見あたらなかった」との答弁書を持ち出し、こう述べた。「韓国サイドに証拠があるというんだったらしっかり出してもらいたい」
これまで橋下氏は、歴史認識問題には慎重な発言を通していた。名古屋市河村たかし市長が2月、南京事件を否定する発言をした際も「歴史的事実について発言するなら知見も踏まえ、慎重にすべきだ」と述べるにとどまり、石原慎太郎都知事尖閣諸島購入発言にも当初「ふつうの政治家じゃなかなか思いつかない」と持ち上げたものの、持論は述べなかった。
橋下氏は30日、踏み込んだ発言をした理由を尋ねた記者にこう答えた。
「特に領土問題に関してはきちんとした話ができるまでは、実力行使でその現状を壊すことがあってはならない。それを韓国が一歩踏み越えた。これにはね、きちんと反論しなければいけない」
 
安倍元首相と急接近
 
橋下氏が慎重姿勢から転じた直後だ。「新しい歴史教科書をつくる会」から分かれた「日本教育再生機構」(東京)の幹部に全国紙の記者から電話が入った。「安倍氏を念頭に『慰安婦』で踏み込んだのだろうか」
河野談話批判の急先鋒で知られる安倍晋三元首相。総選挙をにらみ、安倍―橋下連携が騒がれ始めたタイミングと符合していた。
だが、この幹部はそっけなく答えたという。「持論を述べただけだよ」
一般的に「持論」というと、昔からの信念を思い浮かべがちだ。ただ、この「持論」はそうでもなさそうだ。この幹部によると、知り合った大阪府知事就任前夜の橋下氏は、教育や歴史認識に一家言もつ人物ではなかったという。
同機構の関係者には、「持論」は知事になってから、自分たちとのやり取りを通して醸成されたように見える。実は、安倍氏と橋下氏ら大阪維新の会のメンバーを引き合わせたのもまた、同機構だった。
今年2月、大阪市であった教育集会で、安倍氏と維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事が登壇した。その打ち上げで、松井氏側近が「私たちがやりたいことは安倍内閣が目指したものと一緒」と話すと、安倍氏は上機嫌だったという。
関係は次第に深まり、維新の会側が安倍氏に連携を打診するまでになった。この幹部は現下の状況についてほくそ笑む。「思い描いた以上に進んでいる。おもしろいぐらいだ」(後略)

「自由社版教科書は訂正せよ」神奈川県教委の要望書全文

神奈川県教委が文科省に対して自由社版教科書の訂正勧告を求めた要望書の全文は次の通りです。

子教第50号
                             平成24年6月25日
文部科学大臣殿
                             神奈川県教育委員会 委員長 平出 彦仁
 
             教科書発行者に対する給与済み図書の記載内容に
             関する訂正申請の勧告実施を求める要望書
 
このことについて適切かつ迅速な対応をしていただきたく、次のとおり、要望いたします。
教科書記述の正確性を確保し、生徒の学習を質的に保障するため、教科書発行者に対する訂正申請の勧告を行い、現に使用している学校への訂正の通知を促すこと。

<提案理由等>
このたびの要望書を提出する契機となった中学校社会科(歴史的分野)の教科書に限定して、提案の理由等を述べる。

平成23年度に中学校において、教科用図書の採択替えが行われた。それに先立つ平成22年度教科用図書検定において、いくつかの歴史的事象の記述について、平成20年度あるいは平成16年度の検定では合格となっていたものに検定意見が付され、修正表を提出し、再審査を経て検定済みとなるケースが、複数の発行者で見られた。これにより、中学校では次のような事態が起きている。
一つの学校において、前回(平成21年)と今回(平成23年)の採択替え で同じ発行者の教科書を採択している場合、同じ学校の同じ教育課程で学ぶ生徒の「教科の主たる教材」である教科書で、同一の歴史的事象について、学年によって異なる記載内容で学習している。
また、発行者の異なる教科書を採択していても、前回の採択図書で学ぶ生徒は、その記載内容について、訂正されないまま学習している。その結果、生徒の学習活動に大きな支障をきたし、あわせて高等学校の入学者選抜における、学力検査の問題作成にも影響を及ぼすこととなる。
本来、教科書は小・中学校等において、「教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書」(教科書の発行に関する臨時措置法)であり、諸学校における児童生徒の学習を保障する重要な要素のひとつである。
今回の教科書の改訂では、そうした役割を有する教科書について、教育基本法及び学校教育法の示す教育理念や目標等を適切に踏まえ、新学習指導要領の趣旨・内容を的確に反映した質・量ともに充実したものとしていくことが強く求められていた。
この点に関しては、教科用図書検定調査審議会から出された報告書「教科書の改善についてー教科書の質・量両面での充実と教科書検定手続きの透明化ー(報告)」(平成20年12月25日)の中でも、教科用図書検定基準に関し、教科書記述の正確性について言及されているところである。
こうしたことに基づくならば、どの教科も教科書の発行者は、その記述内容に関して、検定後または既に給与済みとなっても、必要に応じて訂正申請を行い、文部科学大臣の承認を得た上で、現に使用している学校に訂正通知を出して、最新の情報に更新し、正確性の確保に努めるべきであり、それが児童生徒の学習を支える発行者としての責任と自覚である。
しかしながら、現在においてもなお、特段訂正申請及び通知をしていない発行者もある。
そこで、訂正申請及び通知は発行者が行う(教科用図書検定規則第14条、15条)ことになっていることから、発行者の社会的責任と自覚をあらためて促すよう、教科用図書検定制度の統括者であり、「その訂正の申請を勧告することができる」(教科用図書検定規則第14条第4項)権限を持つ文部科学大臣に、上記の点について強く要請する。

                   <問い合わせ先> 教育局支援教育部子ども教育支援課
                               教育指導グループ  松田
                               電話 045−210−8217(直通)

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・神奈川県教委が自由社版教科書の訂正を文科省に要請

神奈川県教委が自由社版教科書の訂正を文科省に要請

朝日新聞7月28日付

教科書「訂正勧告を」 神奈川県教委 文科省へ 不正確記載で
 
神奈川県教委は27日、文部科学省に対し、2009年版の教科書の不正確な記載内容などについて、出版社に訂正の勧告をするよう要請したと発表した。同省によると、地方自治体からのこうした要請は異例という。
県教委は、横浜市の市民団体から「自由社版の歴史教科書は、11年の新版で修正された部分が複数あるのに、09年版を使用している学校に周知されていない」などと要望を受けて議論。県教育委員から「古い記述で学習し、生徒に不利益が出ている」といった意見が出たため、要請に踏み切った。09年版の自由社の歴史教科書は、横浜市の一部で、今の中学2、3年が使っている。
文科省教科書課の金沢哲哉専門官は「訂正の勧告は前例がなく、重大な誤りを想定したものだ。あくまで出版社の自主的な判断に任せている」と話している。

【解説】横浜市教委は2009年、18区中8区(青葉、旭、金沢、港南、港北、瀬谷、都筑、緑)の市立中学校の歴史教科書として「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版教科書を採択し、10年度から使用されました。
昨年には市内全域で「教科書改善の会」の育鵬社の教科書が採択され、この春から使用されています。
中学校の社会科は一般的に、1、2年生で地理、歴史を並行して教え、3年生で公民を教えています(1年で地理、2年で歴史、3年で公民を教える「ザブトン型」に対して「パイ(π)型」と呼ばれています)。
従って、横浜市の8区の市立中の2年生は、昨年春に配られた自由社版教科書(旧版=10年度版)を今年度も使っています。
自由社版の旧版は写真の裏焼きなど欠陥が多いほか、東京書籍の教科書から年表を盗用していることが明らかになっています。新版(12年度版)で修正していますが、旧版を使用している学校に修正を周知していません。
このため横浜市教委に善処を求める声が相次いでいましたが市教委は動かず、今回県教委が文科省に要請することになりました。
なお、朝日新聞の記事中、09年版は10年度版、11年版は12年度版の誤りです。
 
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日本教育再生機構と大阪維新の会は兄弟関係

本日発売の週刊「AERA」(2月13日号)に掲載された「橋下『接近者』との本当の距離 石原新党小沢グループみんなの党安倍晋三…」の中に、大阪維新の会」と「日本教育再生機構大阪」が大阪青年会議所を母体とする兄弟関係であるということや、橋下徹大阪市長安倍晋三元首相が日本教育再生機構八木秀次理事長を介してつながっている事実が書かれています。一部を抜粋します。


別の人物は、石原新党成功のシナリオをこう描いている。
「石原・橋下の連携という形で走り出すのがいい。何も一緒になる必要はない」
と言い、こう付け加えた。
安倍晋三さんが加わってくれれば大成功なんだけどね。保守勢力の結集なんだから」
時代のホープと目されてきた中川昭一・元財務相が2009年に亡くなったことで保守勢力の間では今も「安倍さん頼み」が続いている。
それゆえ石原陣営からも声がかかるのだが、安倍氏安倍氏で橋下氏ら大阪維新の会との連携を粛々と進めている。その一つが2月26日に大阪で開く教育シンポジウムで、大阪府市の教育基本条例案について論じ合うという。
ある教育関係者は言う。
「安倍さんのほか、松井一郎知事(維新の会幹事長)と八木秀次日本教育再生機構理事長が登壇します。橋下さんにも声をかけていますが、生々しくなりすぎるからどうかなあ」
ここで登場する日本教育再生機構とは、「新しい歴史教科書をつくる会」から分かれたグループ。地方組織「教育再生機構大阪」と維新の会はともに、大阪青年会議所が母体と言っていいほどで、橋下氏が知事選に出た際には、地元幹部たちが府下の教育の現状を橋下氏に講義したりして、関係を築いていったそうだ。
「当時の橋下さんは『読み書きそろばんだけできれば』ぐらいの認識だったんです。ところが、メンバーが教職員組合のなどを挙げると、『わかった』と納得し、公約に教育の問題を入れてくれました」(先の関係者)
ちなみに、教育再生機構の機関誌「教育再生」の1月号をみると、「橋下イズムを突破口に」という座談会があって、安倍氏側近の下村博文衆院議員と、山谷えり子義家弘介参院議員が出席。「橋下さんの突破力に期待したい」(下村氏)というエールとともに、「安倍内閣が作った流れを取り戻して――」(義家氏)といった発言も記されている。要するに、安倍氏と橋下氏は「教育」をはさみ込む形ですでに通じあっているのだ。

破廉恥!「つくる会」が東京書籍の年表スキャン認める

薔薇、または陽だまりの猫 から

自由社=「新しい歴史教科書をつくる会」が中学校歴史教科書の年表を東京書籍から盗用した事件(検定に2回合格)は、初版本の編集担当者、松本謙一氏が自らの関与を否定。それに対して「つくる会」が長文の反論文を公表しました。
http://www.tsukurukai.com/
 
その反論文は「『つくる会』側の調査では、鈴木事務局長の指示で事務局員の一人がスキャナーで東書14年版の年表の文字を読み取り、テキストファイルでフロッピー・ディスクに入れ、松本氏の事務所に送ったことが確認されています」と、「つくる会」中枢が盗用の予備行為を行った事実を恥ずかしげもなく認めています。
 
そのデータを「下書きとして使ってもらうつもりで」松本謙一氏に渡したところ、松本氏がそのまま組み付けたというのです。松本氏は出所を知らなかったと主張し、「つくる会」は知っていたはずだと言っています。つまらない泥仕合ですが、いずれにせよ「つくる会」が盗用行為を実行した詳細が当事者の証言によって明らかになりました。
 
他社の教科書をスキャナーで読み取るという破廉恥な手口が判明したことで、著作権侵害の被害者である東京書籍には自由社に対する毅然とした法的措置が求められます。文部科学省および現在自由社版を使用中の横浜市教委も自由社への厳重な対処を迫られます。

改善の会・育鵬社教科書を自民党が全面支援


しんぶん赤旗 21日付
教科書は誰のもの(4) 安倍氏祝福メッセージ
自民党「本気」の介入

 
9月21日。台風15号が日本列島に上陸し、大きな被害を出したこの日の夜、東京都内で「育鵬社版教科書の採択報告と懇親の夕べ」が開かれました。主催したのは、実質的に育鵬社版教科書をつくった日本教育再生機構教科書改善の会です。
 
 党をあげて
 
育鵬社版教科書「大躍進」の祝賀会であるこの夕べに、自民党安倍晋三元首相が祝福のメッセージを寄せました。「日本人の美徳と優れた資質を伝える教科書が今後4年間で約25万名の子供たちの手に届くことになったことは、教育再生の基盤となるものと確信します」
自民党育鵬社版教科書の採択に党をあげて手を貸したことを象徴するできごとです。
安倍元首相は5月に教育再生機構などが開いた「育鵬社教科書出版記念行事」に参加してあいさつ。「育鵬社が今夏の採択で大きな成功を収めるように、一緒になって頑張りましょう」
教育再生機構の機関誌『教育再生』6月号)と露骨に育鵬社版の採択率アップを呼びかけました。
育鵬社への支援は安倍氏の個人的な行動にとどまりません。
同党は5月、全国に向けて「中学校教科書採択への取り組み」についての通知を出しています。再生機構は『教育再生』7月号にその通知の内容を掲載。「自民党が今回は教科書で本気だ」などと書いています。
それによると通知は、中学の歴史・公民教科書の大半は「教育基本法の理念・精神が十分反映されたものとは言えず、誠に還憾」とし、「首長らに『自衛隊違憲とする教科書についてどう思うか?』などと率直に考えをただす」ことなどを地方議員に求めています。
自民党はさらに政務調査会発行のパンフレットを「議会質問用参考資料」として地方議員向けに出しています。「国旗・国歌」「自衛隊」「拉致問題」などについて、事実上、育鵬社が有利になるような質問例を掲載し、地方議員が議会で取り上げるように指示したものでした。
 
 議連が総会
 
2月には自民党の国会議員有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(通称・教科書議連)が総会を開きました。
同議連は1997年に結成され、日本軍「慰安婦」の記述をなくすよう教科書会社に圧力をかけるなどしてきました。今夏の教科書採択に向けて活動を再開したのです。
同議連の新会長となった古屋圭司衆院議員は4月22日の衆議院拉致問題特別委員会で民主党中野寛成拉致問題担当相(当時)に、育鵬社の公民教科書の拉致問題にかんする記述を示し、「どういう印象をもつか」と質問。中野担当相は「育鵬社、よくここまで書いていただいたなという意味では敬意を表したい」と答えました。
再生機構はさっそく『教育再生』5月号にこのやりとりを掲載。宣伝に利用しました。
地方議会でも日本会議地方議員連盟のメンバーらが中心になって自民党のパンフレット通りの質問。「改正教育基本法の目標を達成するため、最も適した教科書の採択を求める決議案」などを出し、圧力をかけました。
育鵬社版教科書は自民党の不当な介入の中で、各地で採択されたのです。 (つづく)